銀行大手がペットのための遺言書作成・保管・執行サービス提供開始

ペットを飼っている人は自分が亡くなったあとのペットのことが心配なもの。

そんなときに使えそうな銀行の遺言信託サービスが先日から始まっているようです。
→三井住友信託銀行の遺言作成・保管・執行サービス「遺言信託(ペット安心特約付)

これはペットのための遺言書を作成し、保管、執行までを行ってくれるサービスで、猫や犬を飼育している人が亡くなってしまった場合、その後お世話をしてくれる人にペットを引き渡したり遺産から飼育費用を渡すなど、事前に作成した遺言書に沿って飼い主さんの要望を執行してくれるというもの。

出典: cat-press.com

ペットに遺言を残しても法的な効力はありませんが、もしものときに備えて、ペットをお世話してくれる人に、ペットのお世話を条件に、遺言で財産を遺すことはできます(これを負担付遺贈といいます)。

上記の三井住友信託銀行の遺言信託サービスはこの負担付遺贈を内容とした遺言の作成と、遺言書の保管、亡くなった後の執行までトータルでサポートしてくれるというもの。

ただ、銀行ですのである程度の手数料は覚悟が必要です(パンフレットによると銀行に支払う手数料だけでトータルで130万〜数百万円。これに加え、謄本等を取り寄せる場合の実費や、司法書士や税理士などの各士業に支払う手数料も別途かかります)。ですので、多少費用がかかってもお付き合いのある銀行を信頼して丸投げできる裕福層がターゲットといっていいでしょう(ちなみに銀行がペットの世話をしてくれるわけではない点もご注意)。

うちはそんなにペットにかけるお金はないよ、という場合は、弁護士や行政書士などの専門家に相談しながら自分で負担付贈与を内容とする遺言書をつくることを考えてみてもよいと思います。

ただ、遺言は一方的な意思表示ですので、遺言を遺された相手に拒否されてしまえばそれまでです(これを遺贈の放棄といいます)。そうなると遺言を残した意味がなくなります。そこで遺言では心配な場合は、生前にペットの世話を頼む人との間で、自分が亡くなった後にペットの世話をしてくれるよう契約しておくこともできます(これを負担付死因贈与契約といいます)。契約であれば一方的に破棄はできません。

また、最近では信託契約を使って、自分が元気なうちからもしものときのペットの生活をきめ細かく定めることもできるようになりました(いわゆるペット信託と言われています)。この方法であれば、遺言や死因贈与と違って、生前から契約の効力が発生しますので、例えば病気でペットの世話ができなくなったような場合でも安心です。

このようにペットの相続対策にはいろいろな方法がありますが、いずれにせよ、まずは愛犬・愛猫さんたちのために、もしものときに備えたノートを書いておくことをおすすめします。
弊所のエンディングノートを使ってくださってもよいですし、ダイソーのもしもノートもおすすめですよ。

弊所でも、ペットのための遺言作成から遺言執行、死因贈与契約や信託契約のご相談まで幅広くお手伝いしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。(^^)

来月7月1日から生命保険契約照会制度が開始します

国内の全ての保険会社が加入する業界団体である生命保険協会は超高齢社会への対応の一環として、顧客向けの「生命保険契約照会制度」を創設、来月7月1日から制度の運用が開始されます。これまで災害時にのみ利用されていた照会制度を平時でも利用できるように一本化したものだそうです。

今回創設する「生命保険契約照会制度」では、契約者・被保険者がお亡くなりになった場合、認知判断能力が低下している場合において、法定相続人、法定代理人、3親等内の親族などからの照会を生命保険協会が受け付け、照会対象者に関する生命保険契約の有無について一括して生命保険各社に調査依頼を行い、生命保険各社における調査結果をとりまとめて照会者に回答いたします。

出典: www.seiho.or.jp

相続手続きが始まると被相続人(亡くなった方)が入っていた生命保険などを調べるのに手間取ることがあります。そんな場合、来月からはこの照会制度を利用すれば一発で全保険会社に検索をかけて保険加入の有無を調べてくれるのでかなり便利になりそうです。

契約者などが死亡した場合に加え、認知症などで判断能力が低下している場合も制度利用が可能。利用料は平時の場合は税込み3000円(災害時は無料)。利用者は法定相続人や親族、法定代理人などの一定の人に限られます。照会制度で加入の有無がわかれば、あとは個々の保険会社に問い合わせることになります。

普段から保険証書などはしっかり管理しておくことはもちろんですが、もしものときでも時間をかけずに保険加入の有無を検索できるのはとても助かりますね。

相続争い、高止まり続く

相続を巡る争いは増えている。最高裁判所の司法統計によると、遺産の分割を巡って全国の家庭裁判所に持ち込まれた審判・調停の件数は2019年に1万5842件。20年で1.5倍に増え、近年は1万5千件前後の高止まりが続く。

出典: www.nikkei.com

 

記事では相続争いの高止まりの原因として日本社会の高齢化を挙げています。

2019年の65歳以上の人口は約3589万人で2000年に比べて1.6倍に増えており、遺産の取り決めについて明確にしないまま亡くなり、遺族の話し合いがこじれるケースが増えていると。

そして近年も相続争いが高止まりしてなかなか減らないのは、終活を先のこと、特別なことと考える人がまだまだ多いからかもしれません。

確かに自分の死んだ後のことを考えるのはよほど心に余裕があるときか、自分に死が差し迫ってきたきぐらいですから、毎日を忙しく過ごしている人が終活を考えるのはなかなか難しいと思います。

しかしながら、特にこのコロナ禍で身にしみて感じるのは人の運命というのは全く予想がつかないということ。1年前に元気に話していた身近な人が1年後にこの世からいなくなっている、ということは他人事ではなく誰にでも起こりうるのです。あなた自身にも。

終活は人生を最後まで楽しく過ごすための備えです。

このあたりで一度立ち止まってもしものときのことを考えてみませんか。

※最高裁判所の司法統計はこちらで確認できます(最高裁判所司法統計)。