(ニュースレター2022年新年号より)
(ニュースレター2022年新年号より)
お正月は終活を始めるにとてもいいタイミングです。
そこで、今回は「終活」の基本について考えてみましょう。
貴方は「終活」と聞いて何をイメージされますか。
身の回りの整理や、遺言、お墓の準備、葬儀の予約など、自分が亡くなるときや、亡くなった後のために、予めしておく準備、というのが一般的なイメージではないでしょうか。
それはそれで間違ってはいないのですが、人というのは(特に日本人はその傾向が強いそうですが)死を忌み嫌う性質を持っています。
なので、どうしても「死ぬときのための準備」というと「縁起が悪い」とか「まだ自分には関係ない」と思ってしまいがちです。
それゆえ終活自体もなかなか始める気にならないのが実情だと思います。
しかし、このコロナ禍でも皆さんも身にしみておられるように、人の運命というのは予測がつかないものです。特に自然災害が多い日本においては、明日のことすら誰にもわかりません。
にもかかわらず全く何の準備もしていないと、万が一のときにご自身やご家族、また周りの人に予想外の負担をかけることになってしまいます。
そこで、終活を「亡くなるときのための準備」だけでなく、もう少し長いスパンで「これからの人生を不安なく楽しく暮らすための準備」と捉えてみることをおすすめしたいと思います。
つまり、終活とは「人生を終わりまで楽しく暮らすための活動」である、と考えるわけです。
そう考えると、終活を始めるのに遅すぎることはあっても早すぎることはない、ということになりますよね。
まさにこのお正月は終活を始めるベストなタイミングなのです。
では、その「終活」として具体的に何をすればいいのでしょうか。
これについては次の4つの要素でお考えいただくと良いかと思います。
まずは「楽しみ」。
「生きがい」と言いかえることもできます。
人生の楽しみを見つけること、人生の楽しみに気づくことはまさに最初に行うべき「終活」といえるでしょう。
次に「健康」。
できるだけ長く元気に暮らすための健康増進活動も大切な「終活」です。
そして「お金」。
余分なものはいらないけど、老後資金は心配。であれば、早めに人生の資金計画を立てて対策を考えましょう。それもまた「終活」ですね。
最後に「備え」。
リスクに備えること。病気や事故、災害もリスクですが、人生100年時代においては介護や認知症を招く「長生き」もリスクです。
その他にも相続のリスク、お一人様のリスク。
それらのリスクにいかに備えるかも大事な「終活」です。
まずはエンディングノートを書いてみましょう。
エンディングノートはいわば人生を終わりまで楽しむための終活の「羅針盤」です。
そしてエンディングノートは書きっぱなしにするのではなく、常にアップデートしましょう。
加えて、上記の4つの要素でアンテナを張っていると、日々の生活から様々な終活情報が入ってくると思います。
その中で気になる情報はその都度エンディングノートにまとめていくのがコツです。
なかなかエンディングノートが書けない、使いこなせないという方は弊所で開催する「エンディングノートサロン」に参加していただくのもおすすめですよ!
弊所で定期購読している雑誌「終活読本ソナエ」。先日秋号が届きました。
今号の表紙は元舞の海関の舞の海さん。
今は親方でなくタレントなんですね。
特集は「定年後の生前整理」。
終活の一貫としての断捨離は一般に「ヒト」「モノ」「コト」が対象になるわけですが、本書では「モノ」の整理を主に解説。
50代から80代まで世代ごとのモノの片付けテクニックを紹介しています。
特に50代の生前整理を「老前整理」ととらえ、定年後の老後生活を充実させるためのもの、という考えに言及している点は注目です。
「老前整理」という言葉がある。 人が経験する整理を「生前整理」「老前整理」「遺品整理」と3つに区分したうちのひとつだ。いずれの整理もモノを片付けるという点ではまったく同じなのだが、目的や片付けのテクニックが異なってくる。終活の一環として自分の死を意識して行う生前整理は、万が一のときに周囲の人の負担を軽くするために行われる。時期も定年後に始める整理を指す。一方、老前整理は、現役世代のうちに身の回りを整理していくことをいう。 死というよりも、アクティブなシニアライフ、セカンドライフを充実させることに主眼が置かれている。自分自身のために行う整理だ。 老前整理の利点は、本人に判断力や体力がある段階で行われることにある。モノを片付けつつ、老後のプランを立てながらモノを減らしていく。(終活読本ソナエ2021年秋号より)
弊所で提唱する「終活」の概念である「人生を終わりまで楽しく暮らすための活動」においても、この「老前整理」の考えは非常に重要です。
50代からまずは「モノ」を整理することからはじめて、徐々に「ヒト」や「コト」もうまく整理していくことで、老後生活を本当に大切なものだけに囲まれた、シンプルで楽しいものにしていきたいものです。
本書ではその他にもコロナのストレスを発散させるための方法や、「障害ある子を持つ親の終活」と題して親なきあとの終活を支援する活動をレポートしています。
応接室に蔵書していますので弊所にお立ち寄りの際はチェックしてみてくださいね。
終活(人生を終わりまで楽しく暮らすための活動)を実践するために日々のインプットをアウトプットする場所としてブログを活用してはいかがでしょうか。
いわゆる「終活ブログ」です。僕も日々実行中です。
具体的にいうと、
日々得た知識や経験したこと、自分に課した課題(日課)・目標達成のためのステップや、家族や仲間に残したい伝言、その時々の自分の考え、つまりその日、頭や体にインプットされた情報を、ブログという形で記録(アウトプット)すると決めることで、日々のインプットを活性化し、目標達成、自己実現に少しづつ近づいていこうというものです。
例えば、歳をとってもそこそこの体型を維持したい!
と思えば、終活ブログに筋トレの項目を設けて、日々のトレーニングを記録していきます。
筋トレした後に記録してもいいですし、今日も筋トレした!と書いてから(逃げ道をなくしてから)強制的に筋トレするでもいい(それは私のことです・笑)。
中年太りの解消にダイエットという項目を設けてもよいですね。
楽器が弾けるようになりたい!なら、その練習成果を毎日ブログに書く。
あるいは書いてから練習する。
何歳から始めてもいい。
音楽は日常を豊かにしてくれます。
趣味にハマってみたい!と思い立ったなら、その趣味に関係する情報に触れたらその日にアウトプットする。
例えば相撲観戦を趣味にしたいと思い立ったら、気になる力士の試合結果や相撲部屋のことをブログに書いてみる。
書くことを前提に世の中にアンテナを張ると必ず気になるニュースと出会う。
なぜ気になったのかをちょっと深堀りして、自分なりの考えを整理して書いてみる。
すると、いままで見過ごしていた事実が見えてきたり、自分の考えに軸が入ったり。
知識が血肉になり、思考に厚みが出る。
そのうち専門知識が溜まってもしかしたら本が書けるようになるかも(今や電子書籍が気軽に出せる時代ですしね)。
そんな感じで、自分の夢や目標に一歩ずつ進んでいくためのツールとして活用できるのが終活ブログです。
そしてその記録はおそらく家族にとっての遺産になります。
というわけで、なんとなく日々を過ごしているなあと感じる終活世代の皆さん、ぜひブログに自分なりの項目を立てて、日々の活動をアウトプットしてみましょう。
今は無料で簡単に作れるブログサービスは山のようにありますよ(中でも「はてなブログ」は人気です)。
もちろん、ブログは敷居が高いという場合は日記でもよいです。
ただ「ひょっとして誰かに読まれるかも」という「他人の目にさらす緊張感」は日記にはないので、強制力というブログマジックの恩恵は受けられません。
なので、できればブログがおすすめです。
終活ブログのいいところあくまで自分のために書くブログだというところ。
収益目的のブログのようにアクセス数を気にしなくていいので気楽です。
子供や孫がたまに見てくれることを期待しながら、淡々と更新しましょう。
産経新聞出版のムック「終活読本ソナエ」ってご存知でしょうか。春夏秋冬の年4回発行している終活専門雑誌です。
高齢者向けの雑誌ですが、毎号、相続からお墓・供養などの最新の終活情報が載っているので情報収集に結構役立っています。
今号の特集はズバリ「お墓の悩み」。それと「目の健康を守る」「ヘルパー介護職とのつきあい方」と続きます。
「お墓の悩み」ではネットを通じてお墓を買った人のアンケート(鎌倉新書調べ)が載っています。
お墓には
などがありますが、さてネット購入ではどのお墓が一番人気だったでしょう?
どんな種類のお墓が人気かといえば、樹木葬が46.5%と購入 者全体の半数近くに達した。同社によると、樹木葬は1年前の調査で初めて、石の「一般墓」を上回ったが、今回はさらに差を広げた。平均費用は一般墓の約169万円に対し、樹木葬は半分以下の約72万円。 納骨堂の約91万円よりも安かった。(終活読本ソナエ2021年夏号より)
ということで、ネット経由の購入ではすでに樹木葬が一般墓を上回っているとのこと。費用も安いですしね。
ちなみに先日亡くなられた作家の立花隆さんも自然回帰を望んで樹木葬にされたそうです。
あと、墓じまいなどの「改葬」も近年ますます増えてきているそうですよ。
厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、 2009年度に7万2050件だった改葬件数は、コロナ禍前の19年度には約1.7倍の12万4346件に達している。(終活読本ソナエ2021年夏号より)
とのことで、やはり少子化や未婚率の増加に伴うお墓の「承継者」不在や、維持管理費の負担などの問題も顕著になってきているようです。
という感じで、終活にフォーカスした珍しい雑誌「終活読本ソナエ」。
弊所でも数年前から定期購読しています。
応接室に2014年の号から備えていますので、ご来所された際にはぜひチェックしてみてください(^o^)。
プロフィールを読んでいただくと分かるように、僕の専門は相続手続全般です。
もともとは法律事務所の職員として裁判実務の補助全般を行っていたのですが、10数年ほど前からはなんとなく相続関係の業務を扱うことが増えてきまして、すでに保有していた行政書士の資格を登録したこともあって、次第に相続業務を専門とするようになっていきました。相続業務が性に合っていたのかもしれません。
現在は行政書士として弁護士と連携しながら、遺言書作成から、遺言執行、遺産分割協議書作成、遺産整理手続全般のほか、相続登記や相続税申告手続(これらは弁護士・税理士の補助として)まで、相続手続きのほぼ全般にかかわる業務を行っています。
それに加えて、ここ数年は相続にとどまらず、いわゆる「終活」という大きな視点で相続も捉えなおす必要があることを感じています。
これまで関わってきた相続業務はいわば人の死という「点」の出来事を起点として発生する業務であることが通常でした(法律事務所経由の案件が多いということも一因でしょうけど)。その「点」が発生する前からその人の人生に長く関わることは(遺言作成業務はある種その様相はありますが)、基本的にあまりなかったと言っていいでしょう。
むしろ人の死という「点」の後に起こる様々な混乱、たとえば親族同士の争いだとか、残された家族の困窮だとか、を目の当たりにすることのほうが日常でした(これも法律事務所の相続案件という特殊性が大いに関わるところですが)。
そしてそのような相続によって家族同士で心ならずも争いになってしまう現実をみながら、円満な相続を実現するためには相続という「点」だけに関わっているだけではダメだ、人生後半から相続発生までを「線」として関わる必要があるのではないか、ということを常々感じていました。
そのタイミングで出会ったのが「NPO法人相続アドバイザー協議会」「終活カウンセラー協会」という民間団体であり(現在は非会員)、またファイナンシャル・プランナー(FP)という国家資格でした。これらの団体の研修を受けたり、FP取得のための勉強をする中で、相続を具体的に「線」として扱うにはどうすればいいのか、を学んでいきました。
そして僕なりに考える「終活」のイメージが出来上がってきたのです。
この「終活」というのもだいぶ定着してきたワードですけど、決まった定義はとくになくて、いろいろな人や団体が独自の定義をしているのが現状です。このホームページでは「終活」を「人生を終わりまで楽しく暮らすための活動」としています。
終活といえばお墓とか葬儀とか供養とか。あるいは相続だとか断捨離だとか。そういう自分が死ぬときを想定して、そこに備えるための活動、とすることが一般的ではあります。
もちろん、その狭い意味での「終活」も大事です。
ただ、人はどうしても自分の「死」をはるか遠いものとして想定しがちです。実際はすぐ近くに来ているかもしれないにもかかわらず。だから、「終活」自体もはるか遠いものとして、自分には当面関係ないものと捉えてしまいます。でもあなたがいつ死ぬなんてことは、誰にもわかりません。明日かもしれないし、1年後かもしれない。
だからあえてこのサイトでは「終活」を思いっきり長いスパンで考えてみることをおすすめしたいのです。終活とは人生を終わりまで楽しく暮らすための活動。そう捉えると、終活を早く始めてみたくなりませんか。
じゃあその「終活」って具体的になにするのよ、ってことになりますが、大きく3つの活動を提案したいと思います。
1つ目は自分のこれからの人生を俯瞰して眺めること、いわゆるライフプランを立てることです。ここがすべての出発点になります。立てたライフプランは一度で終わらせず、常に更新する必要があります。ライフプランはファイナンシャル・プランナーが得意とするところ。作り方に関してはまた詳しく書きたいと思います。
2つ目は作ったライフプランを俯瞰して自分の人生に起こりうる様々なリスクに備えること。事故や病気のリスクはもちろん、2000万円問題で話題になった老後資金のリスク、そして人生100年時代における認知症や介護などの長生きリスク。お釈迦様は人生で避けることのできない苦しみとして「生病老死」を挙げておられますが、超高齢社会の現代ではまさに生きること自体のリスクが突きつけられています。
このようなリスクにそなえるためのセーフティネットが実はわが国ではかなり手厚く張り巡らされています。ただ制度の理解や利用がうまくできず無駄に生活を困窮させている世帯も少なくないのが現状です。イギリスの哲学者フランシス・ベーコンが言ったように「知は力なり」です。ぜひわが国の社会保障制度について浅くても広く知って欲しいと思います。
もちろん、遺言や信託、後見などの法的制度や、贈与税や相続税など税に関する知識を得ることも暮らしの大きな備えになります。また社会保険に上乗せして民間の保険を活用したり、貯蓄だけでなく投資を行ったりすることも様々な資金リスクへの備えになるでしょう。
このブログでは法律実務家の視点に加え、ファイナンシャル・プランナーとしての視点からも、そういった「備え」に関する情報を発信していければと思っています。
そして3つ目が人生の楽しみを見つけることです。
楽しみと一言で言ってもそれは人の数だけ無限にあるでしょう。家にこもって趣味に没頭する楽しみもあれば、外に出て各地をめぐる楽しみもあります(コロナ禍で難しくなっていますが…)。仲間と集う楽しみもあれば、孤独を楽しむこともあるでしょう。
なんでもいいのです。自分だけの楽しみを見つけましょう。同じ楽しみを共有する仲間が増えればまたそれもよしです。楽しみのない長生きだけの人生なんてクリープを入れないコーヒーみたいなもんですから(例えが古いですね)。
ニュースレターでも記事にしましたが、最近は上記3つの視点からさらに進んで、「楽しみ」「健康」「お金」「備え」の4つの視点で終活を考えることを提案しています。
すなわち、終活でもっとも重要なのは「楽しみ」であり、同じぐらい大事なものが「健康」。
そして必要十分な老後資金を用意しておきましょうということで「お金」。
最後に「備え」として、人生を俯瞰して見るためのツールとしてのライフプランニングや、認知症や介護に備えるための行政の制度や法律的な制度を知っておくこと。
言ってることは同じなんですが、「楽しみ」「健康」「お金」「備え」という4つの視点で考えた方がよりわかりやすいでしょう。
当ブログも4つの視点で(特に「お金」と「備え」は専門家の視点から)情報を発信していく予定ですのでご活用ください。
まずは
という手順で終活をすすめていきましょう。
ニュースレター掲載の記事はこちら。